経営・組織
IT体制のあり方は、企業の売上規模によって大きく変わります。当社では売上80億円・400億円・2,000億円という3つの規模でパターンを整理しており、本記事はその中間にあたる売上400億円規模のケースです。
売上400億円規模のあるIT部門を例に考えます。自社社員3名、常駐の業務委託7名(アプリ3名・インフラ1名・ヘルプデスク3名)、プロジェクト単位の開発ベンダー20名(アプリ15名・インフラ&セキュリティ5名)——合計30名の体制で、何十本ものシステムを回しています。この体制は、AIネイティブな組織になると、体制と年間コストがどう変わるのでしょうか。開発ベンダーへの外部委託をやめ、少数精鋭の業務委託とAIパートナーが開発を担う体制へ——当社が目指す姿を、AS-IS/TO-BEで具体的に描きます。
AS-IS ― 30名の内訳
まず現状(AS-IS)の体制です。「システム部門3人」という数字の裏に、実際には30名が関わっています。
| 区分 | 内訳 | 人数 |
|---|---|---|
| 自社社員 | 部長・10年目社員・3年目社員。ベンダー管理、社内調整、ビジネス部門とのやり取り、予算契約管理に追われる | 3名 |
| 常駐業務委託 | アプリ3名・インフラ1名・ヘルプデスク3名 | 7名 |
| 開発ベンダー | アプリ15名・インフラ&セキュリティ5名 | 20名 |
| 合計 | 30名 |
TO-BE ― 開発ベンダーはゼロに、少数精鋭とAIパートナーが開発を担う
目指す姿はこうです。プロジェクト単位の開発ベンダー20名は、基本的にすべてなくします。自社社員3名は、日々の開発をバリバリこなすというより、引き続き予算・契約・優先順位の判断とAIパートナー・業務委託との窓口を担います。実際の開発・改修は、少数精鋭の業務委託2名が、AIパートナーと組んでAIエージェントを駆使しながら回します。常駐のヘルプデスクは、PCキッティングなど物理作業が残るため1名を維持し、常駐インフラは無くします。
| 役割 | AS-IS | TO-BE |
|---|---|---|
| 自社社員 | 3名(コーディネーター) | 3名(変わらず。予算・契約・意思決定と窓口) |
| 業務委託(開発) | 3名(常駐アプリ) | 2名(AIエージェントを駆使して開発・改修) |
| 常駐:インフラ | 1名 | 0名 |
| 常駐:ヘルプデスク | 3名 | 1名(PCキッティング等の物理作業) |
| 開発ベンダー:アプリ | 15名 | 0名 |
| 開発ベンダー:インフラ&セキュリティ | 5名 | 0名 |
| AIパートナー(外部) | ― | 1名 |
| 合計 | 30名 | 7名 |
AS-IS → TO-BE ― 年間ITコストの試算
人数の変化を、年間の人件費・AI利用料ベースで試算するとこうなります。
| 区分 | AS-IS | TO-BE | 差分 |
|---|---|---|---|
| 自社社員(3名) | 2,700万円 | 2,700万円 | ±0 |
| 常駐業務委託 | 6,120万円 (7名:アプリ3・インフラ1・ヘルプ3) | 2,700万円 (3名:開発2・ヘルプ1) | ▲3,420万円 |
| 開発ベンダー | 2億2,200万円 | 0円 | ▲2億2,200万円 |
| AIパートナー(1名) | ― | 1,800万円 | +1,800万円 |
| 開発エージェントのトークン費用(業務委託2名分) | ― | 240万円 | +240万円 |
| SmartOptimizerのトークン費用(要約・クロスレビュー等) | ― | 240万円 | +240万円 |
| 年間合計 | 3億1,020万円 | 7,680万円 | ▲2億3,340万円(約-75%) |
※試算の前提: 自社社員900万円/人・年(会社負担込み)。AS-ISの常駐業務委託(月額単価×12)はアプリ85万円・インフラ90万円・ヘルプデスク55万円。TO-BEの常駐業務委託は、開発担当2名(月額単価85万円×12×2名=2,040万円)とヘルプデスク常駐1名(月額単価55万円×12=660万円)の合計2,700万円。AIパートナーは月150万円の伴走契約を想定した一例。開発エージェントのトークン費用は、開発担当1名あたり月10万円(コーディングエージェントのトークン従量課金の想定)×2名で算出。SmartOptimizerのトークン費用は、要約の作成・検索やクロスレビューなどAPI呼び出し分を月20万円と想定して算出。トークン単価・利用量は生成AIの進化やご利用状況により変動します。
なぜ、ここまでの差が生まれるのか
SmartOptimizer は、AI同士が要約を共有する「共有メモリ」です。開発担当がAIエージェントを使って調査・実装・改修を行うたびに、その要約が書き残され、他のAIエージェント(や新しく加わったAIパートナー)がすぐに参照できます。加えて、独立したAIによるクロスレビューや、作業が止まったときに知らせる仕組みを備えています。役割ごとの変化は、次のように説明できます。
変わらないもの
ベンダーがAIに置き換わっても、最終承認・重要な意思決定・AIの監督そのものは人に残ります。AIエージェントが実装や設定変更を行っても、本番への反映や外部への影響がある操作は、必ず社員かAIパートナーの承認を経ます。契約の可否、予算の配分、優先順位づけも同様です。SmartOptimizerが目指しているのは、AIに作業を任せることであって、判断を任せることではありません。
経営者にとっての意味
- 年間で約2億3,000万円、率にして約75%のコスト差になり得る。プロジェクト単位の開発ベンダーへの外部委託をやめ、少数精鋭とAIパートナーで内製化するため。
- 社員全員がAI開発者になる必要はない。自社社員は引き続き予算・契約・意思決定を担い、実際の開発はAIを使いこなす少数の業務委託とAIパートナーに委ねる、という現実的な役割分担が土台になる。
- 物理作業やゼロにできない専門判断は残す。PCキッティングのようなヘルプデスク業務や、高度な技術判断は人(またはAIパートナー)に残る。
- これは目指す姿であり、段階的な移行が前提。ベンダーを一度に全廃するのではなく、内製化できる領域から広げていく進め方が現実的。
SmartOptimizer は、AI活用基盤 SmartAIWork360 の一部として提供予定です。「ベンダー依存から抜け出したい」「少人数でも開発・改修を自走できる体制にしたい」——そんな構想があれば、体制とコストを見直す方法をご提案します。お気軽にご相談ください。
※本記事は、当社が目指す将来像を示すための一般化した例です。組織体制・人数・単価はイメージであり、実際の費用や移行の道のりは組織の状況により異なります。